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振動試験のJIS規格

JISとは

JIS規格の特徴

JIS規格はJapanese Industrial Standards(日本産業規格)の略で、日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格です。日本の国家規格ですが、物やサービスの国際取引が盛んに行われている昨今では国際規格との整合性も図られています。

JIS規格は固有のアルファベットと番号で表され、業界ごとに19に分類があり、土木及び建築・一般機械・電子機器及び電気機械・自動車・鉄道・船舶・鉄鋼・非鉄金属・化学/繊維・鉱山・パルプ及び紙・管理システム・窯業・日用品・医療安全用具・航空・情報処理・その他となっています。

幅広い業界で用いられる規格であるため、振動試験の対象となる分野も幅広く、評価される対象物も多岐にわたります。土木及び建築分野では建物や建材の耐震性を、一般機械・電子機器及び電気機械・自動車・鉄道・船舶の分野では部品・製品の耐久性や運搬物の保全を評価するケースが多く見られます。

振動試験の種類

正弦波振動試験(サイン振動試験)

正弦波を用いた振動試験であり、ファンやモーターなど固有の振動数を持つ構造物の近くで必要となります。

正弦波振動試験は次の2つに分けることができます。

  • ・掃引試験(スイープ試験)
    振動数を変化させながら行う試験
    共振探索や任意の振動数範囲の特性評価が目的
  • ・スポット試験(固定振動数試験)
    特定の一つの周波数の振動を一定時間連続で発生させる試験
    任意の設定振動数特性評価や共振耐久評価が目的

ランダム振動試験

設定した周波数成分を持ったランダムな振動を与えるのがランダム振動試験です。実際の振動に近い振動環境を再現することができ、短時間で共振現象を得ることができます。

車が走る路面の振動や、ロケットが宇宙空間に飛び立つの振動が該当し、現実に起こっている振動はランダム振動に分類することができるでしょう。

衝撃波振動試験(ショック)

衝撃環境への耐性や特性を評価するために行われる試験です。机を叩く、車がぶつかるなどの衝撃を受けた際の振動を再現するものであり、機械的な弱点や衝撃によって引き起こされる損傷、劣化を明らかにすることを目的としています。

実波形再現試験

実際に計測した振動派遣を試験機で再現するものです。輸送中や地震、機械による振動を計測し、再現することによって実際の使用条件下での試験を行うことができます。

他規格との違い

JISが国内規格であるのに対し、国際規格ではIEC規格、ISO規格などがあります。IEC規格は電気・電子に関する技術における標準化を目的とした国際規格、ISO規格は電気・電子以外の分野に関する標準化を目的とした国際規格です。他によく用いられる規格としては、NAS規格、MIL規格などがあります。

NAS規格は国際航空宇宙規格(National Aerospace Standard)の略で、航空宇宙産業の業界で使用される規格です。MIL規格はMilitary Specification and Standardsの略でアメリカ国防総省が定めた規格で、アメリカ軍の調達資材に関して、過酷な環境下でも問題なく使用できる品質基準が定められています。

JIS規格に関するQ&A

振動試験の規格はISO何ですか?

振動試験の規格として、ISO 16750-3があります。自動車に用いられる電気・電子機器の複合環境振動試験に関する国際規格です。

自動車用電子機器の振動試験に用いられたケースでは、正弦波振動やランダム振動を試験後の動作確認や目視での外観検査を実施し、異常の有無を確認しています。

ISO 16750-3規格試験に対応するためには、振動だけでなく温度変化を加えた試験を行うことが求められており、複合環境振動試験装置を導入している企業もあります。

ISO規格は必要ですか?

ISO規格の認証を受けて外部に公表することにより、顧客からの信頼獲得につながります。個人のユーザーだけでなく会社としての取引相手の信頼をえることは、企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

また、ISO規格の認証を受けるためにはサービスや商品の質を保つために作業手順や書類、責任と権限を明確化することも求められます。会社として組織の管理がスムーズになり、仕事が効率的になることもメリットです。

ISOとJISの違いは何ですか?

ISOは国際基準の規定であり、スイスに本部がある機関です。この期間により定められている規格がISO規格であり、検査方法や組織、環境に配慮する仕組み自体など幅広いものを定めています。

一方、JISは日本の国家規格です。工業製品に関して規格や測定法を定めており、認可された製品にはJISマークを付けることができます。基本的にJISはISO規格を日本語に訳したものであり、規格の内容に違いはありません。

JIS規格を遵守していればISOにも適合するようになっており、日本だけでなく他国でも国内規格が制定されていあすが、ISO規格と整合させるよう協定で義務付けられています。

ISOで有名な規格は?

ISOで有名な企画としては、次の3つが挙げられます。

  • ・ISO 9001(品質マネジメントシステム)
  • ・ISO 14001(環境マネジメントシステム)
  • ・ISO 27001(情報マネジメントシステム)

もっとも有名なのは、ISO 9001です。一貫した製品・サービスを提供することで顧客満足度を向上させるためのISO認証となっており、業務の手順書マニュアルがそろう、全社共通のフォーマットを作成したなど企業としてメリットもあります。

環境に対する影響を最小限にするためのISO 14001は、環境破壊によるリスクを軽減する、環境に関する法律を遵守したい企業におすすめのものであり、環境に悪影響を与えているようなものがれば改善することで規格を満たすことができ、エネルギーコストの削減メリットもあります。

ISO 27001はを適切に取り扱うための規格であり、個人情報に特化したPマークとは異なり情報資産全般が対象となっています。そのため、PマークとISO 27001どちらも取得する企業も増えており、情報漏洩事故を防ぐことにつながっています。

JISの振動試験事例

輸送の試験事例

  • 試験目的:国内宅配便トラック輸送を想定した試験。垂直方向の振動に対する耐振動性を評価する。
  • 対象品:ダンボール包装の精密機器、500mm×400mm×H300mm、30kg、1個
  • 試験条件:参照規格、試験条件は以下のとおり。 【参照規格】JIS Z 0232 付属書A表1のランダム振動を適用。 【試験条件】宅配便では貨物のどの方向に上下方向が加わるか特定できない。したがって、3個の供試品を用意して、1個毎に異なる方向の振動を与える方法があるが、宅配便の場合集荷後中継拠点で積み替えられ、姿勢が変わる(垂直方向振動が加わる方向が変わる)ことを想定して、1個の供試品に順番に30分間、各方向の振動を与えることにした。

LEDライトに関する環境試験事例

  • 試験目的:LEDライトに関する耐振動性、耐衝撃性を評価する。
  • 対象品:鉄道車両用照明
  • 試験条件:参照規格、試験条件は以下のとおり。 【参照規格】JIS E 5006 【試験条件】振動・衝撃、低温起動、高温起動、温湿度サイクル、高温高湿動作など