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耐候性試験

耐候性試験とは?

耐候性試験とは、自然環境による劣化への耐性を短期間で評価するため、太陽光に似た人工光源を照射し、対象物に断続した水の噴射を行う試験です。

太陽光による光の影響、温度や湿度、降雨といった屋内・屋外の条件を再現することで、対象物の劣化を促進させ、材料の耐性や劣化の程度・状況を確認することができます。

耐候性試験には「屋外暴露試験」と「促進耐候性試験」の2種類があり、温度や湿度、降雨などの条件を再現するものは促進耐候性試験、対象物を屋外にさらすことで状態の変化を確認する方法は屋外暴露試験と呼ばれて区別されています。

屋外暴露試験とは

屋外暴露試験とは、材料や製品を実際の屋外環境に一定期間さらし、自然条件の影響による劣化や性能変化を評価する試験方法です。この試験は、太陽光、雨、風、湿気、温度変化といった自然要因が製品に及ぼす影響を明確にするために実施されます。特に建築材料、塗料、プラスチック製品などの耐候性や耐久性を評価するために広く用いられています。屋外暴露試験は、人工的な条件下で行う促進耐候性試験と異なり、実際の使用環境に近い条件で行われるため、より現実的な評価結果が得られるとされています。

屋外暴露試験の目的

屋外暴露試験の主な目的は、製品や材料が特定の自然環境条件下でどの程度の耐久性を持つのかを確認することです。試験を通じて、製品の寿命を予測し、使用環境に適した材料や設計の選定をサポートします。また、試験結果を基に製品改良を行い、品質を向上させることが可能です。例えば、塗料の色褪せ、樹脂の割れ、ゴムの硬化など、さまざまな劣化現象を検出し、そのメカニズムを解析することで、製品の信頼性向上につながります。

試験方法と設置条件

屋外暴露試験では、試料を特定の環境条件にさらして評価を行います。試験場での試料の設置は、使用環境を模倣するために非常に重要です。一般的には、試料を一定の角度で地面に対して傾け、太陽光や降雨を直接受けるように設置します。この角度は、試料が直射日光を受ける配置を目的としています。さらに、試料の方位も重要で、多くの場合、試料は太陽の光を多く受ける方角に向けられます。

試験期間は評価目的に応じて異なり、短期間の数週間から、長期間の数年に及ぶ場合があります。たとえば、3年間の暴露試験では、3年分の自然環境条件を再現したデータが得られます。試験中は定期的に試料を観察し、外観の変化、重量の減少、強度の低下、機械的特性の変化などを記録します。

試験場の選定と環境条件

試験場の選定は、試験結果の信頼性に大きな影響を与える重要な要素です。試験場の環境条件は、地域によって大きく異なります。例えば、フロリダやアリゾナのような高温多湿または高照度の地域は、太陽光や湿度による劣化を評価するのに適しています。一方、寒冷地や高地の環境では、低温や風雪による影響を評価するのに役立ちます。日本国内では、一般財団法人日本ウエザリングテストセンター(JWTC)などが試験場を提供しており、地域ごとの特性に基づいた試験を実施しています。

試験結果の評価方法

屋外暴露試験の結果は、さまざまな観点から評価されます。まず、試料の外観変化を観察します。塗料の場合、色褪せや光沢の低下が主な評価項目です。プラスチックでは、割れ、変形、表面のひび割れなどが確認されます。次に、重量減少や材料強度の変化を測定し、製品の機械的特性への影響を分析します。さらに、顕微鏡や分光器を使用して表面の劣化や化学的変化を詳細に調査することもあります。

試験データの解釈には、専門的な知識が必要です。例えば、塗料の耐久性評価では、色差や光沢保持率が指標として用いられます。一方、プラスチックの耐候性評価では、引張強度の変化率や衝撃強度の低下率が重要な評価項目です。

試験規格と標準化

屋外暴露試験には、国際規格や日本産業規格(JIS)が適用されます。これにより、試験の手順や評価方法が標準化され、結果の信頼性と再現性が確保されます。代表的な規格として、JIS Z 2381「大気暴露試験方法通則」があります。この規格では、試料の設置方法、試験期間、データ収集の手順などが詳細に規定されています。また、ISOやASTMなどの海外規格も多く採用されており、グローバルな製品展開に対応するために重要です。

試験のメリットとデメリット

屋外暴露試験のメリットは、実際の使用環境に近い条件下で製品の性能を評価できる点です。これにより、人工的な試験では得られない現実的なデータを取得することが可能です。しかし、一方で試験には長期間を要し、気象条件が予測不能であるため、試験結果にばらつきが生じることがあります。そのため、屋外暴露試験と促進耐候性試験を組み合わせて実施し、結果の補完性を高めることが一般的です。

促進耐候性試験とは

促進耐候性試験は、屋外環境における製品や材料の劣化挙動を短期間で評価するための試験方法です。この試験は、紫外線、温度、湿度、降雨などの環境要因を人工的に再現し、製品の耐久性や寿命を定量的に評価することを目的としています。主に、自動車部品、建材、塗料、プラスチック製品、繊維製品など、多岐にわたる分野で使用されています。

屋外暴露試験は実際の環境下での劣化を長期間観察する必要がある一方で、促進耐候性試験は人工的に環境条件を制御し、短期間で劣化を再現できる点が特徴です。この特性により、試験結果を製品開発や品質管理に迅速に活用することが可能です。

試験方法

促進耐候性試験には複数の方法があり、それぞれ特定の用途や対象材料に適しています。代表的な試験方法には以下のようなものがあります。

  • キセノンランプ式試験

キセノンランプを光源とするこの試験は、太陽光スペクトルを忠実に再現することを目的としています。試験中は紫外線から可視光、赤外線までの幅広い波長範囲が照射され、これに加えて水噴霧や湿度制御が行われます。特に、塗料やプラスチックの耐候性評価に広く利用されており、屋外暴露試験との相関性が高いとされています。

  • サンシャインカーボンアーク灯式試験

サンシャインカーボンアーク灯を光源として使用する方法です。この試験は、紫外線を主とした光照射を行い、さらに水噴霧を組み合わせます。繊維製品や建材の評価に多用されますが、近年ではキセノンランプ式が主流となっています。

  • スーパーUV(SUV)式試験

スーパーUV試験は、紫外線出力の高い光源を使用し、短時間で劣化を促進する点に特徴があります。特に高耐候性塗料の評価に使用されますが、自然環境との相関性には注意が必要です。この試験では、短波長の紫外線が材料に与える影響を重視しています。

試験で評価される項目

促進耐候性試験では、以下のような観点で製品の劣化を評価します。

まず、色や光沢の変化が重要な評価項目となります。試験前後で色差や光沢度の測定を行い、劣化の進行度を把握します。たとえば、塗料やプラスチック製品では、紫外線や湿度の影響による退色や艶消えが観察されることが多いです。

次に、物理的強度の変化も試験の重要な部分です。引張強度や引裂き強度といった機械的特性を測定し、製品の耐久性がどの程度低下しているかを評価します。これは、建材や繊維製品において特に重要です。

さらに、外観の変化も目視検査を通じて確認されます。ひび割れ、剥離、変形などの劣化形態が記録され、試験結果に基づいて製品の改良が検討されます。

標準規格と試験条件

促進耐候性試験には、日本産業規格(JIS)をはじめとする多くの国際的な規格が存在します。たとえば、JIS K 5600-7-7はキセノンランプ法による塗膜の促進耐候性試験を規定しており、JIS K 7350-4はプラスチックの光源暴露試験方法を定めています。これらの規格に基づいて試験条件が設定されます。

一般的な試験条件としては、照射強度、温度、湿度、サイクル時間などが含まれます。また、水噴霧を加えることで、雨や結露の影響を再現します。

試験の限界と注意点

促進耐候性試験には利点が多い一方で、限界も存在します。重要な点は、自然環境との相関性が完全ではないことです。試験条件は人工的に設定されるため、実際の使用環境と一致しない場合があります。特にスーパーUV試験では、短波長紫外線の影響を過度に強調することで、実際の環境下での劣化挙動とずれが生じる可能性があります。

また、試験結果は、使用するフィルターや照射強度、温湿度条件によって大きく左右されます。試験の信頼性を確保するためには、試験条件の適切な設定が不可欠です。

さらに、材料の特性によっても結果が異なります。たとえば、紫外線吸収剤を含む材料は、促進耐候性試験において良好な結果を示す可能性がありますが、長期的な使用環境では劣化が進行する場合があります。このため、試験結果を解釈する際には、材料特性や使用条件を総合的に考慮する必要があります。

耐候性試験の試験事例

サンシャインウェザーメーターによる耐候性試験

  • 試験目的:塗料やプラスチックなどの素材に対して、耐候性を試験するために行われる。OKIエンジニアリング株式会社では、紫外線の波長部に強いエネルギーをもつ光源であるサンシャインカーボンアーク灯を光源とした耐候性試験に対応しており、規格に基づいた試験のほかに、各種環境を組み合わせた試験も行われる。
  • 対象品:塗料、プラスチック、ゴム、繊維
  • 試験規格:
    JIS K 7350-4 実験室光源による暴露試験方法
    JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法
    JIS B 7753 サンシャインカーボンアーク灯式の耐光性試験機および耐候性試験機

キセノンウェザーメーターによる耐候性試験

  • 試験目的:塗料やプラスチックなどの素材に対して、耐候性を試験するために行われる。OKIエンジニアリング株式会社では、太陽光に近似する波長帯域の光源であるキセノンアーク灯を光源とした耐候性試験に対応しており、太陽光の約3倍の「スーパーキセノンウェザーメーター」による高照度試験や、分布を変えずに照度を変更する方法に対応している。
  • 対象品:塗料、プラスチック、ゴム、繊維
  • 試験規格:
    JIS K 7350-2 プラスチック-実験室光源による暴露試験方法
    JIS B 7754 キセノンアークランプ式耐光性および耐候性試験機

耐候性加速試験

  • 試験目的:樹脂製品の劣化について、屋外環境に依存することから耐用年数を考慮した材料選定ができるように、簡易耐候性試験システムによって耐候性加速試験を実施している。1日という短期間で樹脂材料や製品を紫外線にさらし、加速試験を行う。
  • 対象品:樹脂、樹脂製品

工業製品の耐候性試験

  • 試験目的:さまざまな工業製品について、素材ごとの太陽光・紫外線による劣化の程度を確認するために行われる。対象素材に応じてサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験・紫外線フェードメーター式耐候性試験・メタルハライドランプ式耐候性試験など複数の方法から実施。
  • 試験規格:
    JIS A 1415 高分子系建築材料の実験室光源による暴露試験方法
    JIS B 7753 サンシャインカーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機
    JIS B 7754 キセノンアークランプ式耐光性及び耐候性試験機 (ブルーシート)
    JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法
    JIS K 6266 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム耐候性の求め方
    JIS K 7102 着色プラスチック材料のカーボンアーク燈光に対する色堅ろう度試験方法
    JIS K 7350 プラスチック実験室光源による暴露試験方法
    JIS K 5981 合成樹脂粉体塗膜
    JIS E 4037 鉄道車両構成部品耐候性試験方法
    JIS L 0842 紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法
    JIS K 5600-7-7:2008(ISO 11341:2004) 塗料一般試験方法-第7部:塗膜の長期耐久性-第7節:促進耐候性及び促進耐光性(キセノンランプ法)

環境試験はトータルで対応できる会社へ

環境に対する部品や部材、装置などへの耐性はさまざまな角度から評価する必要があるので、環境試験も一つの対象品に対して、さまざまな種類の試験を実施しなければなりません。

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