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耐震業界の振動試験事例

耐震で振動試験が重要な理由

耐震の分野で実際の地震の揺れを想定した振動試験は欠かせないものです。振動試験によって、実際に地震が起こった場合にどの程度、建物や製品が耐えられるのかを評価できます。

それだけでなく、揺れに耐えられずに建物が倒壊してしまったり、製品が破損してしまったりした場合にどんな被害が起こりうるのか知ることもできます。どんな被害が起こりうるのかを想定できれば、それに備えることが可能です。

このような理由から、耐震の分野では振動試験が重要とされています。

耐震の振動試験事例

通信機器の大型地震に対する耐震性試験の試験事例

  • 試験目的:震度7(の最低値)に相当する地震に耐えることを確認する。
  • 対象品:通信機筐体560×500×1800mm、150kg
  • 試験条件:適用規格、試験条件は以下のとおり。
    【適用規格】JIS C 60068-3-3 環境試験方法-電気・電子-機器の耐震試験方法の指針、JIS C 60068-2-57 環境試験方法-電機・電子-時刻暦振動試験方法
    【試験条件】地表加速度:震度7に相当する地表加速度を表から選択し7.9m/s2を得た。
    試験加速度: JIS C 60068-3-3より地表加速度の2倍を水平方向試験加速度、垂直方向加速度をその1/2とした。※通常、建物の上層階における床の振動は地表面の2倍程度になる。
    加振軸:1軸毎に試験する。試験時間:40s。
    要求応答スペクトルの形状:JIS C 60068-2-57の付図3を適用。

地震波形再現試験の試験事例

  • 試験目的:観測された地震波形データを3軸対応の振動試験機で再現し、対象品の挙動を確認するため。
  • 対象品:段積みした荷山、W1000×L1200×H3920mm、400kg
  • 試験条件:目標波形;観測波形(例:兵庫県南部地震波)
    地震波名;新潟県中越地震波、兵庫県南部地震波、東北地方太平洋沖地震波
    加振方向;NS・EW・UDの3方向同時加振
    ※再現波形は無負荷の状態で装置能力範囲内に加工した波形を100%とし、加振レベルを10・30・50・70%に設定して実施。試験回数は計74回実施。振動台へのセッティングは23回実施。

原子力設備 耐震振動試験

  • 試験目的:原子力設備の当該サイト内の耐震試験基準に従って、設備が正常に稼働するかどうか検証する目的で試験を実施。
  • 対象品:原子力関連設備(約750kg、縦約500mm × 横約1750mm 高約1240mm)
  • 試験条件:対象品の特定した4部位のZ軸(UD)、X軸(EW)、Y軸(NS)固有値探索1~100Hz
    対象品の特定4部位の応答加速度が、規定値になるように振動台の加速度を設定して振動試験を行う。
    振動試験加振中に供試体の機械的な機能検査を行った。

自社テストセンターへ導入?それとも受託試験?

耐震の分野における振動試験は、大型の装置や広いスペースが必要になることも多く、 適用規格もさまざまなものがあるため、振動試験における高度な専門知識と広い知見をもった試験担当の技術者の育成も必要です。

設備や試験担当の技術者がそろっている場合は自社で対応できますが、コスト面の問題などで設備を確保できなかったり、試験担当の技術者が不足したりしている場合は受託試験を検討してみるのがおすすめです。