振動試験機の構造について見ていく前に、振動試験機とはどのようなものなのか、役割や目的、仕組みについて解説します。
振動試験機とは、試験対象品に加わる機械的な振動に対して試験を行う装置のことです。たとえば電車やトラックで走行する際の振動により起こる故障のリスク、エンジン振動による耐久性、振動による不具合が起きる製品を改良するためなどの用途で利用されます。
振動試験機は「フレミング左手の法則」により測定を行います。フレミング左手の法則では「磁束密度」「電流」「導線の長さ」の3つの要素を乗じることにより、「電磁力」を導き出します。導線に電流を流すと、磁界の中で直進方向に電磁力が発生するため、電磁力による振動を振動試験機が感知して測定する仕組みです。
ただし振動試験機の中には、振動ピックアップの信号により振動状態を把握する「動電式振動試験機」や、油圧を利用して振動を発生させる「油圧式振動試験機」もあり、種類により仕組みが違うこともあります。
振動試験機は一般的に次のような構造で作られています。
プリチャージアンプとは小型の機械で、振動試験機において振動を計測するためのものです。振動機のことをプリチャージアンプということもあります。計測器により感知した振動を電圧信号へと変換増幅し、計測器に入力するために必要となります。
振動発生機はその名の通り、振動を発生させるための装置です。本体の上のほうに試験対象や治具などを設置して、内部で振動を発生させることにより試験を行います。中には可動部と2種類のコイルが収められており、コイルによる電磁力にて振動を発生させる仕組みです。
電力増幅器は交流電力と直流電力を供給させるための機械のことで、これらの電力は可動部コイルに提供されます。振動試験機の構造において最も大きな装置であることがほとんどです。
振動発生機で熱を持ちやすい部分や、励磁コイルを冷やすための送風機であるのがブロワです。
振動制御装置は、振動試験機の構造のひとつである振動発生機で起きた振動を、制御したり計測したりする機器です。任意に設定された振動が加わると試験機に命令を与えて、試験対象物への揺れを計測するとともに、フィードバック制御を行う役割を担います。
振動試験機は、振動を受けやすいモノの耐久性や故障の原因を調査するための試験機です。そして振動試験機の構造は「プリチャージアンプ」「振動発生機」「電力増幅器」「ブロワ」「振動制御装置」と5つの機器によって構成されています。
振動試験機を自社に導入するためにも、振動試験受託サービスを利用するためにも、振動試験機の目的や構造を知っておくことは大切です。しかし振動試験機を提供しているメーカーはさまざまで、どのメーカーのものを選ぶべきか判断できないこともあるのではないでしょうか。
本サイトでは振動試験機を導入する前に知っておきたい、2つのメーカーについて解説しています。自社に適した振動試験機を導入したいと考えているなら、ぜひ選択の参考にしてください。