振動系と振動試験機では、基本的に作っているメーカーが異なります。ここでは、振動系と振動試験機の違いについて、詳しく解説していきます。
振動計は、測定対象物の振動の大きさを測定する機器です。振動センサーとも呼ばれています。振動を表す物理量には、「変位」「速度」「加速度」があります。検知する物理量は、振動の対象物や振動数によって選択するのが一般的です。
振動計が使用されるのは、生産設備や研究開発などです。生産設備では、保全のためなどに使用されます。IoT化が進む近年では、早期に設備機器の異常を検出することで、生産の効率化を図ります。研究開発の分野では、自動車業界や電気機器など、さまざまな用途で使用されています。
変位の振動の周波数は、主に100Hz以下です。構造物の固有振動などの検知に適しています。速度の振動周波数は、10~1,000Hの範囲です。一般的なモーターなどの検知に適しています。加速度は、ベアリング損傷などの検知に適していて、振動の周波数は1,000Hz以上になります。
振動計には、接触式と非接触式があり、振動の特性や計測場所に合わせて種類を選定します。
振動試験機とは、部品や製品に振動を与える試験機です。製品や部品は、振動を与え続けると、破損する可能性があります。品質保証の意味で耐振性能を確認するために使用され、測定の結果は振動対策などに活用されます。自動車部品などが振動環境に耐えられるかを確認したり、製品が輸送時に受ける振動に影響を受けるのかを確認します。振動試験機は、振動計の構成にも使用されるものです。
振動計が振動を測定する機器である一方で、振動試験機は振動を与えて耐久性を試験するものです。振動試験機と振動計には違いがありますが、振動試験機が振動計に含まれるという意見もあります。振動試験機のメーカーが振動計も製造していることはありますが、基本的にはメーカーが異なります。
振動計の使用が向いている検査対象は、製品の設計開発・品質管理・振動対策・乗り物・機械の保守点検などがあります。製品だけでなく、地震の記録や制御、防災など、振動により問題に振動計の使用が有効です。とくに、工場設備などでは、振動計が役立つでしょう。
振動計にもさまざまな種類があり、計測の対象物によって使い分けなければなりません。工事の現場など、大きな振動が起こりやすい場所では振動計で振動レベルを図り監視します。現場で働く人の健康に影響が出ないように、工事に使用する機械の振動を計測することもあります。電化製品の製造現場では、モーターの振動の大きさを振動計を使って分析します。振動の大きさを見極めることで、不良品を振り分けることが可能です。
振動試験機は、部品・製品の耐振動性を確認するために使用されます。そのため、自動車や電子機器の部品などで、振動環境に耐えられるかを確認するために使用されます。電化製品やOA機器など、出荷後の輸送時に振動によって受ける影響を確認するためにも有効でしょう。
あらゆる製品は、製造から廃棄されるまでの間に必ず振動を受けます。振動を受け続けた製品は悪影響を生じ、劣化・破損につながることも考えられます。製品が市場に出てから問題が起こることを未然に防ぐため、振動試験機を使用して検査するのです。振動試験機が使用されるのは部品や精密機器だけでなく、食品にも使用されます。
地震による建物の破損や性能障害を防ぐための研究試験、振動計や地震計の構成・動作確認にも有効です。