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自動車業界の振動試験事例

自動車で振動試験が重要な理由

自動車業界において、振動試験は欠かすことのできないものです。理由は、自動車の構造や動作環境にあります。自動車は振動をともなって動作する部品が搭載されています。また、走行中は常に振動による負荷を受け続けます。エンジンなど各部位からの振動に加え、走行による振動を受け続けるのです。

当然、各部品はその負荷に耐えうるものでなくてはなりません。自動車の場合、走行中に部品が破損してしまうと大きな事故につながってしまう恐れがあります。さらに、振動による揺れや音の影響で乗り心地にも影響が出るため、振動をおさえ快適に乗車できることも大切です。これらの理由から自動車業界では、振動試験が重要視されているのです。

自動車の振動試験事例

音と振動の連性解析事例

  • 試験目的:正弦波掃引試験により、振動モードと音の関係を把握する。
  • 対象品:制振材など
  • 試験条件:振動数の下限と上限を決め、この振動数の間を一定の変化率で振動数を変化(掃引)させます。振動の強さは振動数に応じた加速度もしくは振幅で規定されます。
    使用試験設備:低騒音振動試験機、半無響室や低騒音室、音響分析アプリ(小野測器 Oスコープ2)

自動車の室内騒音の確認事例

  • 試験目的:小型試験機を複数台使用し、車両走行振動を再現。室内騒音、内装キシミ音などを確認する。
  • 対象品:完成車
  • 試験条件:実測ロードノイズ:マイクロホン、着座での官能評価などでの音響評価を実施。

電気自動車用電池パックの振動試験事例

  • 試験目的:実走行で取得したデータを基に、6自由度試験機を使用して電池パックの構造的検証を行う。
  • 対象品:電気自動車用電池パック
  • 試験条件:実走行で取得したデータを基に、6自由度試験機を使用して数日間の連続加振を実施した。上下振動×4データ 前後振動×2データ 左右振動×2データ。対象品の内外にひずみゲージ25カ所、加速度計20カ所を取りつけて測定を実施。

自社テストセンターへ導入?それとも受託試験?

試験例をみるとわかるように、自動車では振動試験の内容は多岐にわたり、自社ですべての装置をそろえるのはコストがかかります。必要となったときに自社の設備が常に空いているとも限りません。また、振動試験における高度な専門知識と広い知見をもった試験担当の技術者の育成も必要です。

よって、自社で試験設備・試験環境と技術者がそろっており、メンテナンスや導入にコストがかけられる場合はよいのですが、それが難しい場合は受託試験を行うのがおすすめです。

また、試験頻度が高い場合は自社で試験機や試験環境を準備し、試験実施したほうが低コストでできますが、試験頻度が高くない場合は受託試験を行ったほうが少ないコストで対応できます。