バイオ医薬品は振動や温度・湿度に弱く、品質管理の徹底が求められる製品です。このページでは、バイオ医薬品に必要とされる振動試験についてまとめました。
バイオ医薬品は、輸送時に振動や温度の変化といったストレスを受けることが問題視されています。バイオ医薬品のように振動に弱いものを、より安全に運ぶニーズが高まっています。バイオ医薬品の輸送には、ゴムなどの防振材で支持した防振器具を用いたり、揺れに弱い製品を運ぶための特殊な車両で運搬されています。しかし、防振材を使用しても完全に防振効果を発揮できるわけではありません。防振材の共振が作用し、大きな振動を生じることもあるのです。
防振材で振動を防げたとしても、輸送中には車の右左折や加減速で振動が生じます。車両が傾くと輸送物の搖動を防ぐことは難しいため、輸送車の速度を抑えるしかありません。
バイオ医薬品の輸送には、適切な管理が求められています。バイオ医薬品は主にたんぱく質を有効成分とした薬なので、副作用が少ないのが特徴です。しかし、バイオ医薬品の成分は振動によってたんぱく質が凝固し、品質が変化することがあります。医薬品としてより安全性を確保するためにも、厳しい試験が求められているのです。振動による悪影響を防ぐためにも、輸送環境を再現した試験が必要です。
バイオ医薬品の輸送に関わる振動試験は、輸送完了後にバイオ医薬品に不具合が出ないよう、振動試験機を用いて行われます。バイオ医薬品の輸送の課題は、輸送時の振動と梱包材や輸送材が製品に与える影響です。安全性を確保した輸送環境を整えるために、振動試験機を使用します。
振動試験機を用いた試験では、実際の振動に近いランダム振動を用いた試験が実施されます。輸送時の振動は一定ではないため、複数のケースで実際の振動データを収集し、得られたデータを解析していきます。解析したデータをもとに、輸送状況に応じた運動試験方法を提案していきます。
バイオ医薬品の輸送時には、振動と合わせて外部環境にも注意しなければなりません。医薬品の安全を確保するためには、温度や湿度環境などもあわせて試験するとよいでしょう。
輸送運搬業界の振動試験については、下記ページでも紹介しています。輸送運搬の振動試験事例も紹介していますので、参考にしてください。
バイオ医薬品向けの振動試験機には「輸送環境試験装置(振とう機投入恒温槽)TRE-100」「輸送環境試験装置TRE-200」といった装置があります。
輸送環境試験装置(振とう機投入恒温槽)TRE-100は、バイオ医薬品などの研究開発用途に作られた装置です。バイオ医薬品は衝撃に弱く、振動を与えることで成分の凝集が発生します。また、温度の変化にも弱く、温度管理が正しく行われていないと、試験結果にばらつきが生じます。輸送環境試験装置(振とう機投入恒温槽)TRE-100では、バイオ医薬品に-10℃~65度の温度範囲を制御します。さらに、輸送中の振動試験を行うことで、質と安全を確保できます。
輸送環境試験装置TRE-200は、-30度から70度と温度範囲が広く、複雑な3軸同時振動も再現できる装置です。実際に輸送している状態での試験を行うことができます。これによって、品質管理における輸送リスク評価を行います。