振動試験のIEC規格
IECとは
IECとはInternational Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)の略で、電気・電子に関する国際規格を標準化する団体です。IEC規格とは、電気・電子に関する技術における標準化を目的とした国際規格で、固有の番号が振り分けられています。
IEC規格が用いられるのは電気・電子に関する分野です。よって、適用される業界は幅広く、電子機器・電子部品の業界だけでなく、自動車、航空・宇宙、輸送・運搬、鉄道、産業機器など多岐にわたります。
他規格との違い
IEC規格が電気・電子に関する技術における標準化を目的とした国際規格であるのに対し、ISO規格は電気・電子以外の分野に関する標準化を目的とした国際規格で、ISOはInternational Organization for Standardization(国際標準化機構)の略です。
また、JIS規格はJapanese Industrial Standards(日本産業規格)の略で、日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格です。他によく用いられる規格としては、NAS規格、MIL規格などがあります。
NAS規格は国際航空宇宙規格(National Aerospace Standard)の略で、航空・宇宙の業界で使用される規格です。MIL規格はMilitary Specification and Standardsの略でアメリカ国防総省が定めた規格で、アメリカ軍の調達資材に関して、過酷な環境下でも問題なく使用できる品質基準が定められています。
IECの振動試験事例
ETCシステム試験事例
- 試験目的:屋外固定製品に対する自動車からの通過振動および衝撃を評価する。
- 対象品:車両検知器および車線表示板
- 試験条件:参照規格、機械的条件、加振方向は以下のとおり。
【参照規格】IEC60721-3-4(JIS C 60721-3-4)環境条件の分類、環境パラメータとその厳しさのグループ別分類、屋外固定使用の条件
【機械的条件】①~④すべてを適用
①4M1, 4M2:振動および衝撃から保護されている場所
②4M3:振動から保護されているが、例えば、爆破またはくい打ちなどの衝撃が伝搬してくる場所
③4M4:機械や通過する自動車からの振動が伝搬してくる場所
④4M5:近隣の機械や運搬レベルからの大きな衝撃が伝搬してくる場所
【加振方向】3方向
ポータブル製品の試験事例
- 試験目的:屋内固定使用時の耐振動性、耐衝撃性を評価する。
- 対象品:デジタルカメラ、90mm×60mm×30mm,0.2kg
- 試験条件:参照規格、試験条件は以下のとおり。
【参照規格】IEC TR 60721-4 “Guidance for・・・Portable and non-stationary use”のTable 7 Class 7M3を適用
【試験条件】ランダム振動試験:30分×3軸
衝撃試験:Half-sine・11ms・300m/s2・(+3、-3回)×3軸、Half-sine・6ms・1000m/ s2・(+3、-3回)×3軸
鉄道車両に取付ける製品の試験事例
- 試験目的:鉄道車両に取り付ける機器、部品の耐振動性・耐衝撃性を評価する。
- 対象品:車体の床下に取り付ける通信機、700mm×600mm×H600mm、60kg
- 試験条件:参照規格、試験条件は以下のとおり。
【参照規格】IEC 61373 Railway applications-Rolling stock equipmen-Shock and Vibration tests の Category 1 Class A車体に直接取り付ける製品を適用。
【試験条件】次の各試験で上下、前後、左右を実施して次の試験に移る。
寿命試験:各軸5時間
衝撃試験:Half-sine 30ms、上下30m/s2、+3回-3回、左右30m/s2、+3回-3回、前後50m/s2、+3回-3回
機能試験:10分以上