振動試験では、製品の耐振動性を評価するために精度の高いセンサーが欠かせません。ここでは、振動試験に適した各種センサーの機能とメリットを詳しくまとめました。
振動試験に使用されるセンサーは、それぞれ特有の特性を持ち、試験の種類や目的によって選ばれます。以下では、主要なセンサーである、加速度センサー・圧力センサー・変位センサーについて紹介します。
加速度センサーは、振動試験において広範囲にわたって使用されるセンサーで、特に動的な振動を詳細に記録する能力に優れています。微細な加速度変化から大規模な衝撃まで、幅広い動きを正確に捉えることが可能です。
加速度センサーの主なタイプには、圧電型、容量型、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)があり、それぞれに特有の応用範囲と感度が存在します。例えば、圧電型センサーは非常に高い感度を持ち、高速で微細な振動を捉えるのに適していますが、MEMS型は小型で低コストであり、消費電力が少ないため、ポータブル機器に適しています。
圧力センサーは、振動と圧力の相互作用を測定するために振動試験で頻繁に使用されます。このタイプのセンサーは、物体の表面や内部に発生する圧力変化を感知。電気信号に変換して出力します。
圧力センサーの技術は、圧電効果を利用するものから、光ファイバー技術を用いたものまで多岐にわたります。航空宇宙や自動車産業での試験では、高い環境耐性を持つセンサーが求められ、温度や湿度の変化が激しい環境下でも安定した測定が可能なセンサーが重宝されます。
変位センサーは、物体の位置変化を測定することに特化しており、その変位の大きさや速度を精密に追跡します。振動試験中の構造的変形や動きを詳細に記録し、予期せぬ挙動や損傷の初期兆候を検出することが可能です。
変位センサーには光学式、磁気式、電気式など多様な技術があり、それぞれの用途や測定条件に最適なタイプを選択することが重要です。例えば、光学式センサーは非接触で高精度な測定が可能であり、微小な変位も捉えることができるため、精密機器のテストや微細加工技術の分野で利用されます。
続いて、加速度センサー、圧力センサー、変位センサーのメリットと適用例をみていきましょう。振動試験において使用される各種センサーは、それぞれ独自のメリットがあり、特定のテスト条件下でパフォーマンスを発揮することが期待されます。
加速度センサーの主なメリットは、高い感度と広範囲な測定能力です。非常に微細な振動から大規模な衝撃まで、幅広い動的イベントを正確に捉えることができます。特に、MEMS技術を用いた加速度センサーは、その小型化と低コストにより、携帯電話や医療機器などの消費者向け製品に広く組み込まれています。
また、自動車業界での安全テストや航空機の構造監視にも不可欠で、耐久性と信頼性が要求される環境下での性能評価にも利用されます。
圧力センサーは、精度と環境適応性に優れているため、特に極端な温度や圧力が絡む環境下での試験において重要な役割を果たします。航空宇宙産業では、エンジンの圧力変化を監視するために使用され、信頼性の高いデータを提供することで、安全性の向上とメンテナンスコストの削減に貢献しています。また、水深や化学反応の監視など、特殊な環境下での応用も多岐にわたります。
変位センサーは、特に構造的な変形や動きを精密に測定する能力が求められる場合に重宝されます。建築業界では、建物や橋梁の微細な動きを長期にわたって監視し、安全性の評価や早期の損傷警告システムとして活用されています。非接触式の光学センサーは、測定対象に物理的な影響を与えることなく、高精度のデータを収集することができ、精密工学や電子部品の検査においても重要な役割を果たしています。