振動試験ガイドサイト 振験ぶっく » 振動試験に用いられる規格 » 振動試験のNAS規格

振動試験のNAS規格

他規格との違い

他の業界で多く用いられている国際規格ではIEC規格、ISO規格などがあります。IEC規格は電気・電子に関する技術における標準化を目的とした国際規格、ISO規格は電気・電子以外の分野に関する標準化を目的とした国際規格です。他によく用いられる規格としては、JIS規格、MIL規格などがあります。

JIS規格はJapanese Industrial Standards(日本産業規格)の略で、日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格です。MIL規格はMilitary Specification and Standardsの略でアメリカ国防総省が定めた規格で、アメリカ軍の調達資材に関して、過酷な環境下でも問題なく使用できる品質基準が定められています。

NASの振動試験事例

M16ナットの振動試験の試験事例

  • 試験目的:ナットの耐久性を評価。試験完了後、ナットに割れや、亀裂が入っていないか確認。
  • 対象品:M16ナット
  • 試験条件:参照規格、試験条件は以下のとおり。
    【参照規格】NAS3354
    【試験順序】対象品のM16ナットを参照規格に基づく取付け治具に指定トルク値で固定⇒取り外し作業(4回)⇒指定温度で6時間焼結⇒NAS3354に基づく取付け治具を組み付け⇒ボルトとナットの可動部にSAE20相当の油を塗布⇒ボルトとナットを指定トルク値で治具に固定⇒加振

ゆるみ止めナットの試験事例

  • 試験目的:ゆるみ止めナットの性能評価。試験完了後、ナットに断裂や、き裂が入っていないか確認。
  • 対象品:ボルト;六角ボルトM16×首下長さ70生地、ナット;六角ナット(1種)、六角低ナット(3種)ハードロックナットM16×2.0 生地。
    4種類の材質と4種類のナットを用い、試験実施。材質(4種類)×試験ナット(4種類)=16の組み合わせ。
  • 試験条件:参照規格、試験条件は以下のとおり。
    【参照規格】NAS3350/3354に準じる
    【加熱条件】800℉+25℉(425±2 ℃)または、450℉+25℉(230±2℃)で6時間
    ※メートルねじは、235±15℃で6時間加熱。
    【振動条件】振動周波数1750~1800c.p.m. 30,000cycle実施
    【試験順序】(1)試験片ナットを参照規格表に準じた加熱前の締付けトルクで、4回着脱。5回目に加熱前トルクで締付け。
    (2)締結体一式を電気炉に入れ、加熱。 (3)上記設定温度で加熱後、SAE20油相当の機械油をボルトに塗布し、加熱後の締付けトルクでナットを締付け。
    (4)ボルト、ナット、ワッシャーにマーキングを施し、試験を開始。
    (5)30,000cycle前に各ナットとボルト間のズレが360°以上になった時点で試験を中止する。(30,000cycleは約17分)
    (6)試験終了後のナットの、亀裂もしくは破断部分の有無を10倍に拡大し検査。