振動試験ガイドサイト 振験ぶっく » 振動試験が用いられる業界 » 航空・宇宙業界の振動試験事例

航空・宇宙業界の振動試験事例

航空・宇宙で振動試験が重要な理由

航空・宇宙分野の振動試験は飛行の安全性を確保する上で、必ず行わなければならないと言っても過言ではありません。理由は、航空機やロケットには自動車同様、振動をともなって動作する部品が搭載されているためです。また、飛行中は常に振動による負荷を受け続けるので、当然、各部品はその負荷に耐えうるものでなくてはなりません。

航空機やロケットの場合、飛行中に部品が破損してしまうと大きな事故につながってしまう恐れがあります。さらに、ロケットや衛星などの場合は、一度打ち上げてしまうと宇宙空間で修理するのはほとんど不可能です。これらの理由から航空・宇宙業界では、振動試験が重要視されているのです。

航空・宇宙の振動試験事例

振り子式衝撃試験機によるSRS試験事例

  • 試験目的:高周波・高加速度のSRS(衝撃応答スペクトラム)試験を実施し、対象品の機能を確認する。
  • 対象品:航空宇宙用の機器、自動車用センサーなど(~10kg程度)
  • 試験条件:6dB/oct (50Hz 10G~4000Hz 850G)の試験、4dB/oct, 12dB/octなどの勾配の試験

ジェット航空機コックピットドアーの試験事例

  • 試験目的:ジェット航空機コックピットドアーの耐振動性、耐久性を評価する。
  • 対象品:ジェット航空機コックピットドアー;600mm×50mm×H1800mm, 20kg
  • 試験条件:加振治具;1000mm×1000mm×H2000mm, 350kg
    要求PSDで、X軸5h、Y軸2.5h、Z軸2.5h、4点平均値制御、応答測定8点

ロケット搭載機器の簡易音響試験事例

  • 試験目的:ロケットの打上時に発生する音場による、搭載機器への影響を評価する。
  • 対象品:フェアリング(搭載機器設置済み)
  • 試験条件:周波数;25~2000Hz
    音圧;オーバーオール115dB程度(試験後、打上時の音圧まで補正して解析)
    試験時間;10秒

自社テストセンターへ導入?それとも受託試験?

航空・宇宙分野では振動試験に絞っても内容や対象品は多岐にわたり、自社ですべての装置をそろえるのはコストがかかります。試験実施には広いスペースが必要となる場合が多く、振動試験における高度な専門知識と広い知見をもった試験担当の技術者の育成も必要です。

よって、自社で試験設備・試験環境と技術者がそろっており、メンテナンスや導入にコストがかけられる場合はよいのですが、それが難しい場合は受託試験を行うのがおすすめです。

また、試験頻度が高い場合は自社で試験機や試験環境を準備し、試験実施したほうが低コストでできますが、試験頻度が高くない場合は受託試験を行ったほうが少ないコストで対応できます。