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振動試験で使用される図示方法の種類とは

振動試験には、製品の耐久性や安全性を分析するために、さまざまな図示方法が使用されます。本記事では、その中でも「ボード線図」「ナイキスト線図」「コ・クアド線図」に焦点を当てて解説しています。

ボード線図

ボード線図は、システムの周波数特性を表現する重要な図で、制御設計において広く用いられています。また、ボード線図は「ゲイン線図」と「位相線図」の二つのグラフから成り立っており、システムの動作を周波数の観点から理解するために不可欠です。

ゲイン線図では、横軸に角周波数を対数目盛りで、縦軸にゲインをデシベル単位で表します。対数目盛りにより、広範囲の周波数特性を一覧できるのが大きな特徴です。ゲインが高くなるほど、出力の振幅が大きくなることを示し、システムの応答性を理解するのに役立ちます。

位相線図では、同じく横軸に角周波数を用い、縦軸には位相のずれを表します。位相線図は、入力信号に対するシステムの応答がどの程度遅れるかを示し、システムの動的な挙動を捉えるのに重要です。

ボード線図の読み方

ボード線図の読み方には、特にゲイン線図のデシベル表記に注意が必要です。デシベルは「基準量に対して何倍か」を表す単位で、1倍が0dB、10倍が20dBとなります。この対数関係により、少しのデシベル変化でも、実際の振幅の変化は大きくなります。例えば、6dBの増加は振幅が約2倍になることを意味します。

ボード線図を活用するメリット

ボード線図の利点は、広い範囲の周波数特性をコンパクトに表現できることや、システムの安定余裕が一目でわかること、さらに、複雑なシステムでも容易に書ける点です。また、便利な法則が多数存在するため、システム解析や設計において強力なツールとなっています。

ナイキスト線図

ナイキスト線図は、フィードバック制御システムの安定性を判定するために用いられる図です。実部を横軸、虚部を縦軸にとった複素平面上に、システムの開ループ伝達関数のベクトル軌跡を図示します。

ナイキスト線図を用いることで、閉ループ系の安定性や、極の位置を定量的に分析することが可能となります。

ナイキスト線図の読み方

ナイキスト線図の読み方は、複素平面上での曲線の動きを追いながら、システムの特性を理解することです。特に、共振点近傍が拡大されて図示されるため、システムの挙動がわかりやすくなっています。ただし、周波数が直接図上に現れないため、曲線上に周波数を表示することが一般的です。

ナイキスト線図を活用するメリット

ナイキスト線図を活用するメリットは、開ループ系の特性から閉ループ系の安定性を推定できる点です。数式による複雑な計算を行わずに、グラフィカルな方法で直感的にシステムの安定性を判断できます。

また、システムの動作データから直接ベクトル軌跡を描けるため、実験データを活用してシステム解析を行う際にも有効的です。

コ・クアド線図

コ・クアド線図は、振動試験において使用される特殊な図示方法の一つです。周波数を横軸に、実部と虚部を縦軸に取った、二つのグラフを縦に並べることで、システムの周波数応答を表現します。

伝達関数や周波数応答曲線とも関連が深く、システムの挙動をより詳細に把握するのに役立ちます。

コ・クアド線図の読み方

コ・クアド線図の読み方は、横軸の周波数に対して、実部と虚部の変化をそれぞれ追跡することによります。特に共振点付近の位相変化や、共振峰が明確に識別できるため、システムの動的特性を分析する際に有用です。

ただし、縦軸に対数目盛を使用できないため、軽減衰の場合などは精度の良い表示が困難になる場合があります。

コ・クアド線図を活用するメリット

コ・クアド線図のメリットは、共振点近傍の詳挙動や位相変化を、直接的に把握できる点です。特に、共振峰がボード線図よりも急峻なピークとして虚部に現れるため、重要な特性を識別しやすくなります。

しかし、振動の大きさと位相が直接表に現れないため、使用頻度は高くないものの、特定の状況下で有用な図示方法と言えます。

振動試験機の基礎知識をチェック

振動試験で用いられる「ボード線図」「ナイキスト線図」「コ・クアド線図」といった図示方法は、製品の耐久性や安全性を分析し、適切な制御設計を行うために重要です。これらの図示方法を理解し活用することで、製品の品質保証と改善に大きく貢献することができます。

また、振動試験の委託についても当サイトで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。