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電池関連業界の振動試験事例

電池関連で振動試験が重要な理由

電池関連業界で振動試験が重要視される理由は、安全性を確保するためです。輸送時や使用時の振動への耐久性があるか、地震などが起こったときでも安全に使用できるかなどを振動試験によって確認します。

例えば、昨今、多くの電子機器で用いられているリチウムイオン電池は正極・負極・電解液・セパレーターなどが内部に充填されています。電解液の多くはエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの引火性有機溶媒で、これらが輸送時や使用時などに外に漏れるようなことがあると危険です。

また、内部短絡が起こると破裂や発火につながってしまう恐れもある他、大型の電池では内部のエレメントと端子をつなぐ集電体が切れ、電池として機能しなくなる場合もあります。このため、電池関連分野では使用環境に応じた規制があり、振動試験が重要視されているのです。

電池関連の振動試験事例

リチウム電池温度・振動複合充放電試験事例

  • 試験目的:電気自動車やハイブリッド自動車に搭載するリチウム電池温度・振動複合環境で充放電の機能性性能確認。
  • 対象品:8セルリチウム電池、W190×D200×H120mm(4セル2個組)、13Kg/個(固定治具質量 30Kg)
  • 試験条件:【試験時間】20時間/方向※マイナス40℃になって1時間後、充放電試験を開始する。

リチウム電池国連輸送試験事例

  • 試験目的:この試験は、輸送中の振動を想定して、試験後の質量減少、漏液、破裂、破断および発火の確認。完全放電電池を除き、開路電圧が試験直前の90%以上であることを確認する。
  • 対象品:リチウム電池
  • 試験条件:振動数範囲;7Hz~200Hz
    加速度レベル;7Hz~18Hz 1gn 一定/18Hz~50Hz 複振幅1.6mm /50Hz~200Hz 8gn 一定
    試験時間;各方向3時間、加振方向;3方向
    ※2011年発行最新版のUN38.3の中にT3には大型電池用の条件が追加となり、12Kg以上の場合の最大加速度は2gnが追記されています。(12Kg以下は8gn)

自社テストセンターへ導入?それとも受託試験?

電池関連の振動試験では、その製品を搭載する最終製品に要求される値を評価するのか、単純に電池輸送時を想定するのかによって基準が大きく異なります。また、電池の振動試験時は、発火や破裂が起こる恐れがあるため、安全装置を使用し、電池に異常が起こった際はすぐに試験を中止しなければなりません。

よって、試験におけるノウハウや、規格にも精通している技術者が必要です。設備や試験担当の技術者がそろっている場合は自社で対応できますが、コスト面の問題などで設備を確保できなかったり、試験担当の技術者が不足したりしている場合は受託試験を検討してみるのがおすすめです。