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ランダム振動試験を行う方法【規格に基づく条件まとめ】

さまざまな振動パターンの性能を評価できるランダム振動試験。規格や試験方法について解説しています。

ランダム振動試験について

ランダム振動試験とは、不規則な振動を一定時間与え続ける振動試験のことです。振動には法則性がなく、振動振幅は時間とともに変化していきます。しかし、フーリエ変換を用いることで、複数の正弦波の合成として表現できます。そのため、複数の正弦波振動試験を実施したものとして扱うことも可能です。

ランダム振動試験は実際の環境に近い振動を再現したり、共振を捉えたりすることもできます。なお、試験の条件は規格が定められており、その一つがIEC 60068-2-64です。

IEC 60068-2-64について

IEC 60068-2-64では、ランダム振動試験の適用範囲や振動数、加速度などの条件が規定されています。

適用範囲

IEC 60068-2-64では、ランダム振動試験を一般的な電気製品と電子製品(試験用サンプル・供試品)に適用するものとしています。ランダム振動試験は、ランダムな振動を一定時間供試品へ与え続け、機能や構造の劣化や、負荷に耐える能力を評価するためのものです。

また、試験結果から機械の欠陥や、性能の劣化を特定する際にも利用できます。ランダム振動試験を製品の規格と関連付け、供試品の合否判定に用いることも可能です。

試験振動数範囲

試験の振動数範囲(Hz)は、下限と上限を以下から選ぶことを推奨しています。

  • 下限:1・2・5・10・20・50・100
  • 上限:20・50・100・200・500・1000・2000・3000

上限については、設定できる値に大きな幅があります。

加速度rms値

IEC 60068-2-64では、加速度(rms)を以下から選ぶことを推奨しています。

  • 1・1.4・2.8・3.5・5・7・19・14・20・28・35・59・70・100・140・200・280

1〜280と範囲が広いものの、その中から推奨される値は複数に絞られています。

加速度スペクトル密度曲線の形

IEC 60068-2-64では、平坦・水平な直線部と前後に傾斜をもった加速度スペクトル密度曲線を規定しています。実際の形状は供試品の動的環境によりますが、規定する値は制御システムや加速度rms値、折れ点振動数などから計算します。特別なケースでは、個別の加速度スペクトル密度曲線を用いてもよいとしています。

試験時間の規格

試験時間は製品規格に規定しますが、選択肢として以下の値が提示されています。

  • 分:1・2・5・10・20・30・45・60
  • 時間:2・5・8・12・24

なお、許容差は+-0〜5%としています。

ランダム振動試験の手順

ランダム振動試験は、主に下記の手順で行います。

  1. 初期振動の応答検査を実施する(製品で規定していた場合)
  2. 規定レベルに達するまで低レベル予備加振を行う
  3. ランダム振動試験を実施する
  4. 最終振動の応答検査を実施する(製品で規定していた場合)

供試品に対して、まず初期振動の応答検査を実施します。次に仕様を等化させるため、低レベルの予備加振を行います。そしてランダム振動試験を実施し、供試品への影響を評価します。製品で規定している場合、最終振動応答検査を行って完了です。

ランダム振動試験の事例について

ランダム振動試験は、不規則な振動を受ける可能性がある製品の評価で広く用いられています。精密機器はもちろん、包装貨物にもランダム振動試験が利用されています。また、溶接構造品などでは、振動によるひずみや損傷を評価する際にランダム振動試験を用いるケースも見られます。